贈与

生前贈与

土地などの不動産や金融資産をお亡くなりになる前に、「贈与」という形態でご家族に承継することが可能です。「生前贈与」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。事前に対策を行っておくことで、よりスムーズな相続を実現することが可能になります。ご家族への想い・大切な資産を無理なく「つながる」相続へ導くためにも、ぜひご検討下さい。

相続時精算課税と暦年課税

  相続時精算課税 暦年課税(110万円)
贈与者(与える側) 60歳以上の父母又は祖父母(住宅取得資金の場合、年齢制限なし) 制限なし。
受贈者(もらう側) 20歳以上の子又は孫 制限なし。
非課税範囲 2,500万円(住宅非課税枠除く)贈与者ごとに計算 110万円。受贈者ごとに計算
税金 (贈与価額-2,500万円)×20% (受贈価額-110万円)×税率
計算期間 贈与者の相続開始まで 1/1から12/31
申告 非課税範囲内でも、贈与を受けた翌年の2/1から3/15までに申告 受贈の翌年の2/1から3/15までに申告、非課税範囲であれば申告不要
納税 贈与税がある場合は納税し、相続時に精算 贈与税がある場合は納税

贈与者(与える側)の相続発生

税金 相続財産に贈与財産(贈与時の価額)を加算して相続税を計算 相続開始前3年以内に贈与した財産は相続財産に加算して相続税の計算
贈与財産の価額 贈与時の価額 贈与時の価額
贈与税額が相続税額を超える場合 還付 3年内贈与税が過大であっても還付せず
メリット あくまで2500万円の非課税枠は贈与時の時点の話で、相続時に加算されて相続税の課税対象。ただし贈与時の価額で加算されるため、その財産が相続時に値上がりしていれば、結果としてに節税になる場合も。 贈与財産は、相続時に計算の対象外(3年内除く)になる。その分は、相続財産が減り相続税が安くなる。
デメリット 一度この制度を選択すると、その贈与者については、暦年課税制度が使えなくなる。本来相続税で使えた特例(小規模宅地)が使えなくなる場合がある。 累進課税税率のため、税額が高い

そもそも相続時精算課税制度は、政府が高齢者の有する金融資産を若年層に移転し経済を活性化させようとする文脈のもとで、平成15年に立法された制度です。そのため納税者にとっての関心事であるいわゆる節税がらみの話で言えば、基本的に節税対策としては絶対的な有効性はありません。その言葉通り相続の時に精算する制度だからです。あらかじめ絶対値上がりする土地がある場合などあれば別なのですが。当事務所では絶対的な見込・思込を排し、お客様に応じた最善の贈与税プラン(当然のことながら贈与不要という結論に落ち着くこともありえますが)でご応対させていただきます。

贈与Q&A

一般的なQ&Aは、他のホームページを参照して下さい。以下のQ&Aは目からうろこのQ&Aのみ一部掲載しています。

贈与とは、どういうことですか。
一般的なイメージで言えば、「プレゼント」のようなものです。自分の財産を無償で相手に与える意思を示し、相手が受諾することによって成り立つ片務・諾成・無償の契約です。
遺言による贈与も贈与税が課税されますか。
贈与者の死亡により効力が発生する「死因贈与」と遺言による贈与である「遺贈」は、税法上、相続税の範疇で課税対象になります。また相続開始前の3年内の暦年課税の贈与分も、相続財産へ加算されます。
子や孫名義の預金口座へ、毎年非課税範囲の中で入金していましたが、これは贈与にあたり、非課税となりますか。
子や孫が、その存在を知らない、または管理・運用していないなどであれば、贈与は成立しません。

住宅資金贈与に関するQ&A

住宅資金の贈与を受けたのですが、もらった翌年の申告期限までに申告をしていませんでした。今から申告すると、どうなりますか。
期限をすぎた場合、宥恕(ゆうじょ)規定がないので住宅資金非課税の特例が適用されません。贈与税期限後申告をして納税及び加算税等を支払わなければなりません。
住宅資金の贈与を受けたのですが、土地の購入が先だったのでもらった資金を全額土地の購入代金に充てました。建物の建築資金のみ借り入たのですが、この場合住宅資金非課税の特例は受けることができますか。
建物に取得に付随する場合のみ、土地や敷地権等に充てられた資金が非課税になるので、この場合建物の取得に充てられた資金はすべて借入でまかなっていることから、特例適用はできません。
資金の提供者の父が亡くなった場合、相続税の課税財産に加算する必要がありますか。
いただいた資金は、相続財産に加算する必要はなく非課税です。
住宅資金を贈与されたのですが、所得税の住宅ローン控除と併用できますか。
併用できますが、贈与税と所得税の両方の申告が必要になります。所得税の住宅ローン控除の計算上、住宅ローンの全額が控除対象となるのではなく購入した土地建物の価額から贈与された資金を差し引き、その差し引いた後の価額と住宅ローンの残高を比べ低い方をベースに計算します。

配偶者控除に関するQ&A

今年で結婚20年になるので配偶者控除(2000万円+暦年課税分110万円)の特例を適用して、妻に居住用土地建物を贈与するつもりなのですが、デメリットはありませんか。
一定の要件を満たすことで、配偶者控除の特例により2,110万円まで贈与税が非課税になりますが、登録免許税や不動産取得税はかかります。また贈与した物件は将来の相続の時に相続財産に含まれませんが、支払った贈与税は相続税の贈与税額控除の対象にはなりません。
 そもそも将来的に相続税がかからない方が、不要な税を払うことになることもありえますのですべてのケースでメリットがあるとまでは言い切れない制度です。
配偶者控除の対象になる土地建物を所有しているのですが、すべて贈与すると2,110万円を超えてしまいます。贈与はあきらめたほうがよいでしょうか。
ただ単に贈与税がかからない範囲でということであれば、土地建物の持ち分で調整し評価額を2,110万円の枠内に収めるようにすればよいです。
夫から新に居住用不動産の資金贈与を受けたのですが、もらった翌年の申告期限までに申告をしていませんでした。今から申告すると、どうなりますか。
い原則的に期限をすぎた場合、配偶者控除の適用は認められませんが、宥恕(ゆうじょ)規定がありますので、税務署長がやむを得ない事情があると判断した場合には特例適用が認められることがあります。

相続時精算課税に関するQ&A

昨年、父からまとまった現金をもらったので相続時精算課税制度を適用した贈与税の申告をしました。今年は父から110万円の非課税範囲で現金をもらうのですが、非課税範囲なので申告は不要でしょうか。
一度相続時精算課税制度を適用した場合、それ以降に贈与された財産は、いくらであろうと相続時精算課税を適用した贈与の申告をしなければなりません。ただしお父様ではなくお母様からの贈与であればお母様との間で精算課税制度を適用していませんので、暦年課税内の110万円以内であれば、非課税範囲となり申告不要です。
母から遠方の空き家をもらい相続時精算課税を適用して申告するつもりです。他の兄弟に、黙っていてもわからないでしょうか。
お母さまが将来お亡くなりになった時に、今回の贈与財産を加算したところで、相続税の申告義務があれば、兄弟の方々も知りうることになります。相続税の申告義務が生じなければ、原則的にわかることはありません。ただし遺産分割・遺留分は過去1年(民法改正後は10年)の贈与や特別受益をもとに協議・調停されるので、そのプロセスで他の兄弟が知りうることになる場合があります。
20歳以上の孫に非課税枠の2500万円を一括で、贈与するつもりです。なにか気を付けておくことはありますか。
ご自身に相続が発生した場合、現行では相続人ではない者や孫養子には相続税に2割加算される仕組みになっています。つまり通常の相続人であれば100万円のところ120万円になります。また一括であげると感謝されるのは1回とのお考えの方は、複数回にわけて贈与した方がよろしいかもしれません。
4年前、父から1000万円もらい精算課税の特例を適用して申告をしていましたが、昨年父からもらった200万円をうっかり申告していませんでした。どうなりますか。
精算課税の適用をした申告書を期限が過ぎていても提出し、200万円×20%=40万円及び加算税・延滞税を支払わなければなりません。2500万円の非課税枠が使えるのは期限内申告のみですから、まだ非課税枠があっても使えません。ただし最終的にお父様の相続時に支払った本税40万円は精算されます。

当事務所の「相続税試算・対策プラン」をご契約頂いた方は、様々なバリエーションの生前贈与や各種特例を活用することで、将来の相続に備えスムーズな承継を実現いたします。また3つめのQ&Aのように、相続税申告の際に、デリケートな取扱いになる事項に関しても、事前に適切な手立てを講じることで不要なトラブルを避けることができます。

活用例

  1. 暦年課税の非課税枠(110万円)
  2. 各種特例適用(相続時精算課税)(住宅資金非課税)(教育資金非課税)(結婚・子育て資金非課税)(配偶者控除)(納税猶予)
  3. 非上場株式(オーナー会社の株式)に関するコンサルティング
  4. 賃貸不動産物件に関するコンサルティング
  5. 事業承継のためのコンサルティング

贈与・生前対策の事例


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